ネトラレの類型化を試みる [漫画]

成年コミック「アナザーワールド」(柚木N'、ティーアイネット2010)を読んで、その心情描写に感動して、ネトラレについて語りたくなった。ただし、この本の内容について語ることは、So-netブログ利用規約第6条第5項のに該当する可能性があるので、それは省く。

骨子を抽出し、その上でネトラレ構造の類型化を試みる。

以下の3人の代表的人物から2人を選びパターンを作る。
オタク、イケメン、DQN。容姿と内面はイコールと仮定しておく。
ネトラレの対象となるヒロインは、3人のいずれにも属さない中立的な存在とする。

1)オタクが付き合っている彼女を、イケメンが寝取る
2)オタクが付き合っている彼女を、DQNが寝取る
3)イケメンが付き合っている彼女を、オタクが寝取る
4)イケメンが付き合っている彼女を、DQNが寝取る
5)DQNが付き合っている彼女を、オタクが寝取る
6)DQNが付き合っている彼女を、イケメンが寝取る

ネトラレ(寝取られ)と言うからには、主人公は物語冒頭でヒロインと付き合っている男である。
常人には理解しがたいことから逆説的に有名となったジャンルであるが、依然マイノリティである。よりオーソドックスな嗜好として寝取りが存在する。
成年コミック周辺のニーズを勘案するに、「オタク」が主人公の方が読者の感情移入は容易だと推測される。
類型1,2がこれに当たる。
類型1は自分より人格の優れた者に、自分には過分だと感じていた最愛の女を奪われるという逆カタルシスである。
類型2は力ずくで彼女を奪われる、イジメの構図である。著しく感情移入を喚起するものと思われるが、それは激しい負の感情であり、これを楽しめる人は、イジメを受ける事さえ楽しいのではないかと疑われる。

優れた人物が堕落していくことに快感を覚える嗜好。これが類型3,4に当たる。
類型3は寝取り要素に最も近いと思われる。主体はむしろ寝取る側だと言える。
類型4は、先の「アナザーワールド」がこれに当たる。オタクが登場しないので客観的な物語進行となる。

嫌っている人物が痛い目に遭うことに快感を覚える。これが類型5,6である。
特に類型5はイジメられっ子の報復であり、藤子不二雄漫画にありそうである。寝取り要素である。
類型6は単なるヒロイックファンタジーである。

オタクが寝取られるパターン以外は、寝取りが主体でありむしろ古典的な物語進行と言える。ネトラレはオタク向きの物語である。

「アナザーワールド」をネトラレとして見ると上記4だが、自分はヒロインを軸にした三角関係だと捉えた。それぞれ違うモノを与えてくれる二人の男。金と愛情のように片方を是とし片方を非とする物語ではなく、激しい愛情と穏やかな愛情という対立構造である。
かつて「ママレードボーイ」の登場人物、鈴木亜梨実は「遊が好きだった時は激しい感情だったが、須王くんといると穏やかな気持ちでいられる」と述べ、後者を選んだ。
「アナザーワールド」の鈴も同様だったのである。

90年代の「りぼん」にはかなり思い入れがあるので、これも又の機会に。。。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

追加宗教は最後の人間関係となるか ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。