WTTファイナルズドーハで躍進したチウ・ダン選手の新境地(卓球観戦) [卓球]

2024年1月に開催されたWTTファイナルズドーハにてベスト4に入ったドイツナショナルチームのペンホルダー選手、チウ・ダンに関する感想です。

チウ・ダン選手と言えば、1996年生という中堅世代でありながら2022年にヨーロッパ選手権を制し注目を集めた中華系ドイツ人の選手。
お父さんは世界的に著名な卓球指導者(コーチ)である邱建新(Qiu Jianxin)氏です。
邱建新氏は中国国家隊を経て1989年にドイツブンデスリーガに加入、現在はドイツだけでなく日本にも活動拠点を持っています。

さて、チウ・ダン選手は当然のことながら幼少期から父の指導のもとドイツでキャリアを開始します。邱建新氏へのインタビューによると当初はシェイクを持たせたそうですが、バックハンドよりもフォアハンドに感性が高かったため数カ月でペンホルダーにチェンジしたということです。


そのプレイはというと両ハンドのブロックからチャンスを作っていく選手で、とにかく「固い、手堅い」というイメージが強かったです。反面、一発で相手を撃ち抜く強打はあまり見られませんでした。
しかし、WTTファイナルズドーハでは従来のブロック、ストップ、カウンターの高い技術に加えて、自ら両ハンドで強打していく場面が増えました。特に中陣のバックハンドでシェイクに撃ち負けないのは凄い。その結果、林詩棟(Lin Shidong)、梁靖崑(Liang Jingkun)という2人の中国選手を破りベスト4に入りました。

自分は学生時代にペンホルダーだったこともあり、チウ・ダン選手、趙子豪(Zhao Zihao)選手を応援しています。この2人の選手に共通するのは両ハンドのバランスです。
ペンホルダーというと少し前は中国の許昕(Xu Xin)選手、現在はフランスのF.ルブラン選手が人気があるよう思いますが、これらの選手はフットワークを生かしたダイナミックなプレイスタイルです。

自分は見た目はヒョロヒョロで手足は長いほうですが腕力や脚力に自信がなく、フォア粒高・バック粘着裏の攻守反転⇒フォア粘着表・バック高弾性裏の前陣というキャリアでした。なので、ペンホルダーにおいても両ハンドのバランス型が理想です。

趙子豪選手は超級リーグでプレイはしていますが、国際大会で見る機会はめっきり減ってしまいました。チウ・ダン選手も昨年はF.ルブラン選手に負けてしまうことが結構あり、相性というか見ていて悔しかったですが、今年は更なる飛躍の年になってほしいですね。




nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

卓球観戦のすすめ [卓球]

2016年のリオオリンピックを偶々テレビで観て以降、時々Youtubeで卓球の国際試合を観るようになった。

元々、中学高校は卓球部だったのだが、中途退部してからは関心をなくしていた。
携帯でYoutubeが見れるようになった時に馬琳と王皓の試合ぐらいは見てたような気もするが。

それにしても良い時代になったものだ。現役時代は世界トップ選手のプレイは卓球レポートの連続写真かVHSでしか見れなかった。
全日本も決勝がNHKで放送される程度だったし。

基本的にはほとんど男子の試合しか観ない。理由は後述する。

さて、リオオリンピックの見どころといえば男子団体銀メダル、そして男子個人で水谷選手が日本史上初のメダル(銅)獲得というところだが、純粋にプレイを見るならばやはり相変わらず中国選手が突出していた。
特に前年に悲願の世界選手権優勝を果たした馬龍選手の充実ぶりは圧巻だったと言える。

しかし、Youtubeで卓球を見始めるとあることに気が付く。
それは自分の記憶にある試合展開と全然違うのだ。レシーブから攻勢に出てすぐ打ち合いになる。
卓球は殴り合いのスポーツへと変貌を遂げていた。

少しずつ過去の試合等も観ていくと、どうもリオで銀メダルだった張継科選手がその契機となったようである。
張継科選手は台上バックドライブあるいはチキータレシーブを武器に史上最短でグランドスラムを達成した中国選手。
統制のとれた共産体制下の中国国家隊にあってらしからぬ情熱的なプレイをする選手でもあり、世界中の卓球ファンを魅了した。
リオの時点では故障に悩まされ既に往時のパフォーマンスはなく、個人・団体とも決勝では満身創痍の姿であったが、バックレシーブからのスピーディな展開は異彩を放っていた。

彼の両ハンドスタイルは現世界王者の樊振東選手、そして日本の現エース張本智和選手へと受け継がれていると言えよう。

そう、張本智和選手は新時代の卓球スタイルの申し子ともいうべきプレイヤーだ。
あらゆる最年少記録を塗り替えてきた若き超人の武器はバックハンドなのである。

張本選手の魅力はなんといっても「国際試合で勝てる選手」ということだろう。
元々筆者は強く上手な選手に関心があるのであって、特別に自国の選手を応援したいという気持ちは薄い方だ(現役時代はペンホルダーだったので、ペン選手贔屓はあるが)。

だが、張本選手は国際レベルで考えても史上空前のポテンシャルを持つ選手だ。
両親が中国出身の卓球選手ということもあり、中国式の練習メソッドに則って経験を積んできたことは想像に難くないが、そんなことは日本においてもある程度本気の環境なら中国人コーチを雇うなりして実践していることだ(両親曰く、「小学校卒業までは自由にやらせていた」。それで世代別6連覇しているのだから恐ろしい)。
2018年のITTFワールドツアーグランドファイナル優勝、そして今年の世界卓球団体における対中国2点どり、アジアカップ優勝は堂々の成績だ。
筆者は彼の一日も早いビッグタイトルの獲得を切に待ち望んでいる。

さて、最後に話は変わって女子選手だ。
日本では福原愛選手の活躍で女子人気の方が顕著ではあるが、男子と女子のプレイスタイルは一般的に大きく異なる。一番はパワーの違いだ。
回転量よりも、よりピッチの早いラリーでの勝負になることが多いのだ(一般的な卓球のイメージはこれだろう)。
だが、男子となるとスピードは勿論だがモアパワーが勝負の分かれ目となる。欧州の体格の大きな選手は昔から有しているアドバンテージだし、中国男子のフィジカルの強さは度々専門誌の話題となっているところである。
そして、日本男子も近年はパワーを手にし始めている。そうした中でわずか14歳でワールドツアー勝利と全日本優勝を果たした張本選手の異質さが光るのではあるが、彼も中国選手に力負けしないプレイを手に入れつつある。
女子においてパワーを自在に操っているのは管見の限り、世界卓球に出場できるレベルの中国代表選手ぐらいだ。そうなると、女子の試合で観戦が楽しめるのは中国代表同士の戦いのみとなってしまい、条件がかなり限られてしまうことになる。
そう思って、女子の試合は避けていた。のだが...。

今月に入って、一人の女子選手に心を撃ち抜かれてしまった。まったくノーチェックだったのだが、日本の選手なのだった。
それは、上述した筆者が現在最も敬愛している張本智和選手の実の妹、張本美和選手である。
張本美和選手はまだ14歳のジュニア枠の選手であるが、既にそのパワーはシニアの選手に打ち勝つまでになっている。
兄の張本智和選手はスピードを武器に若くから勝ち上がり、そして最近になってパワーを身に付けてきた。
張本美和選手は、そうではなく恵まれたパワーを生かすためにスピードを操ろうとしているようだ。
そもそもパワースタイルのピークは身体の成長が止まる20歳以降だろう。
14歳の張本美和選手はまだまだ成長過程なのだ。既にシニアのワールドツアーで存在感を発揮し始めているが、彼女自身、また指導者層の目標は目先の勝利などではないだろう。パワーとスピードの真向勝負で中国選手を倒し世界の頂点に立つ。張本美和選手のプレイからはそんな気迫とオーラを感じるのである。

まだまだ国内でも従来の両ハンド型の石川佳純選手・平野美宇選手、異質前陣型の伊藤美誠選手・木原美悠選手、左のパワー系の早田ひな選手・長崎美柚選手に対しても互角というところまではいかないが、これから要注目の選手である。

改めて筆者は張本智和選手・張本美和選手を応援し、来年以降も卓球観戦を続けよう。
あと、戦型的に推しのチウダン選手、趙子豪選手も一試合でも多く見たいですね。
nice!(0)  コメント(0)